一ノ瀬エリーのOL日誌

素敵な選TAXI

 

もし選TAXIに乗車できるなら

一ノ瀬はいつに戻ってやり直すのだろうか。

 

『素敵な選TAXI』は

バカリズムが脚本を手がけたドラマで

「選TAXI」と呼ばれるタクシーに乗れば

やり直したい過去まで戻ることができるという

内容の物語。

 

「人生は選択の連続である」っていうのが

選TAXIの運転手さんの口癖なんだけど

ほんとにその通りだと思う。

 

今の自分の人生は

これまでにしてきた様々な選択の上に

成り立っている。

 

 

 

終電に乗り損ねた人々がタクシーを

呼び止める風景をみながら

ふと

「もし選TAXIに乗車できるなら

いつに戻ってやり直すのだろうか。」

という疑問が浮かんできた。

 

きょうは飲み会だった。

 

華のないOLライフを謳歌する

一ノ瀬だけれど、大切な人はいる。

私が独断で大切にしたい人なだけで

向こうからすれば私はただの他人なんだけど。

 

ただ、

この人を大切にしようとし始めたのは

ほんの4か月くらい前なんだと思う。

 

 

その人は優しい人。

優しくて、一本軸が通っているような人。

そして私の知らない世界をたくさん

教えてくれる人。

 

 

でも、私はその優しさの上に

あぐらをかいてんだと思う。

 

彼は彼の大切な人を失って

私は彼を失った。

 

 

私はなんでも失ってから

その大切さとその深刻さに気付く。

私は彼の人生と

彼の彼女の人生を

狂わせたんじゃないだろうか。

 

彼の口から彼女との別れの話が

他者に語られるのを聞いてしまうたびに

私はその重荷に耐えられなくなる。

 

そして彼の決して褒められない

一面ばかりを他者に言わなければならないのは

辛い。

みんなが求める返答と私の回答は

真逆なのだから。

私にとっての彼は

優しくて、一本軸が通っているような人。

そして私の知らない世界をたくさん

教えてくれる人なのだから。

 

 

 

きょうは電車を降りた瞬間に

その重荷に耐えられなくなった。

上を向いて歩いてもダメだったけど

こうなったのは私の選択によるものだし

仕方ないのだけれど。

 

 

 

 

 

「もし選TAXIに乗車できるなら

いつに戻ってやり直すのだろうか。」

 

 

いっそのこと

母の羊水の中に戻りたい

一ノ瀬なのでした。